あけましておめでとうございます

2010/01/06
スタッフブログ

 あけましておめでとうございます。みなさんはどのように年末年始を過ごされましたか? 

 

 私はちょうど年末に夜勤で、病棟の患者さんと一緒にお正月を迎えさせていただきました。「こんな日に大変だね」「正月手当が付くじゃろう」なんて患者さんに言われながら…。  

 

 でもある患者さんのご家族の方が「いい日に勤務になったね」とおっしゃられました。ふと謙虚な気持ちになって、「そうですね、こんなにたくさんの方とお正月が迎えられますもんね」と言葉をお返ししましたが、その方は私に笑顔を見せてまた別の話題を始めました。

 

 病棟内を一回りしてナースステーションへ戻ろうとすると、車椅子の女性が「家に電話して。連れて帰ってもらうの」「お父さんが寂しがるもん」「ねえお正月ぐらい帰りたい。いいでしょ?」と悲願されます。  毎日毎日この狭い病棟で過ごし、身の回りのことを私たちに託さねばならず、行きたいところにも自由に行けない患者さんが、お正月を迎えようとするこの大晦日に、家族に会いたいと思う気持ちは当然ですよね。ご家族の方も大切な家族を病院に託さねばならず、面会時間内でしか会うことができない日々に、お正月ぐらい連れて帰りたいと願っていると思います。けれどもそうは思っても、私がその女性にかける言葉は家には帰れない理由ばかり。なんともお互いにつらい問答が続いた末に、女性は「何であんたに私を引き止める権利があるの!!」と大声を張り上げました。そういえば、私がこの日の夜勤のために家を出ようとした時、5歳の娘に「何で今日、夜いないの!」と言われ、4歳の息子には「ママがいい!」と泣かれてしまいました。子供たちには行かなければならない理由ばかり並べて。 

 

 その日は紅白歌合戦を自室や談話室で見られている方が何人かいらっしゃいました。紅白は夜の11時45分までです。病棟の消灯時間は夜9時。一緒に夜勤をしていた介護士さんと「今日ぐらいいいよね」とテレビが点いていても黙認し、お正月の朝を迎え「あけましておめでとうございます」と挨拶をして回りました。朝ごはんの前にメニュー表を読み上げ、「昼はお赤飯だよ」なんて喜んで、ついでにニューイヤー駅伝を少しだけ一緒に見ました。こうして書いてみても別分たいしたことをした訳でもないけれど、あの彼女の最後の怒りと悲しみの混じった訴えを聞いて、この年末年始を家族と家で過ごしているような感じに近づけたいと思っていました。 

 

 患者さんのご家族の方がおっしゃられた、あの「いい日に勤務になったね」は「今日は何か学ぶべきことがあるよ」という意味ではなかったのだろうか?と思っています。だから、私が「こんなにたくさんの方とお正月が迎えられますもんね」とまるで謙虚になったふりをして言うと「いやいや、わかってないな。これからわかるよ」と笑顔を見せたのかもしれません。 

 

 夜勤を終えて家に帰ると本物の(?)私の家族が待っている!一緒にいられなかった穴埋めをしなくては。たくさん甘えさせてあげよう!と考えていました。

   が!息子はテレビに夢中。

   娘は祖母の家にウキウキお泊りですって!!!!!!!!!!!!!!!! 

 

 患者さんと共に喜んで、患者さんと共に涙した一年でした。今年もそれはかわらないとは思います。それから、私が人として成長し続けることも。

 

             本年もよろしくお願いします

 

(本館3病棟)